pc4beginnerの日記 はてなブログ版

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ハイブリッド自動車の「燃費」についての誤解

電気自動車の件はともかく、引用記事のハイブリッドについての認識が実情を知らなすぎて呆れかえってしまったので。

大ピンチ? 日本の電気自動車の意外な弱点(JB PRESS)

(引用記事)
ハイブリッドだけが次世代技術なのか(JB PRESS)

このライター(相場英雄さん)は絶対渋滞でプリウスに乗ったこと無いだろうし、そもそもハイブリッドの機構を知らなすぎる。そんな記事が堂々と今も晒されているので、ちょっと誤解を解いておこうかと。

プリウス式ハイブリッドは、一番威力を発揮するのは街中での渋滞時というのはプリウスユーザーなら誰もが知っている。ノロノロ運転や停止時にアイドリングを完全にストップできるため、航続距離を飛躍的に伸ばすことが出来るためだ。これは日常茶飯事のように渋滞が発生する日本の交通事情ではとても優れた特性で、様々な状況を盛り込んだカタログデータの基準値では絶対に分からない。

実際に最新式プリウスに乗ってる友人がいて聞いた話では、街乗りオンリーでの燃費はL25キロ。このすごさは車に乗ってる人なら誰でも分かってもらえると思う。

ちなみにHONDA式ハイブリッドはアイドリングを停止できないので渋滞に巻き込まれるとあまり威力を発揮できない。ただしストップ&ゴーのタイミングでのガソリン消費量が、モーターアシストですごく少なくなるから街乗り燃費は格段に上がる。これもカタログスペックには現れない。

どちらのハイブリッド形式も高速ではあまり意味ないけど、そこは空力性能でカバーしている事は知られていないかも。プリウスインサイトCR-Zなどのあの独特の形状はすごく空力的に優秀なので、特に高速巡航では燃費を稼ぐことが出来るのです。

あと、とくに気になったのがこれ。

例えば、5月に発表されたBMWの主力グレード「3シリーズ」を見てみよう。シリーズの廉価版とも言える「320i」の場合、排気量2000cc、マニュアルトランスミッション仕様は従来モデルよりも45%も燃費性能が向上し、1リットル当たり18.4キロ、オートマチックでも同15.2キロとなっている。

HONDA Fitは実燃費に優れていることで有名だけど、初代に載っている親族に聞いたらL15キロがせいぜいという話だった。これは排気量の大きなBMWなどではもっとなどではアイドリングの消費量が増えるからもっと下がる。こういう情報はカタログデータからは見えてこない。

あと、マツダi-Stopのようなアイドリングストップ機構は完全停止時には効くが、ノロノロ運転ではエンジンが動き続けるのと前述のホンダ式ハイブリッドのように加速時のアシスト効果がないため、通常のガソリン車と変わらなくなってしまう。

いずれにせよハイブリッドの優位性について、引用した記事はちっともわかって居ない。ハイブリッドが威力を発揮するのはストップ&ゴー、もしくはアイドリングが増える渋滞時で、日本で車が走る条件でこれは圧倒的に多いって事。

ちなみにヨーロッパでハイブリッドの立ち上がりが遅れたのは燃費に優れたディーゼル車が多いことと、このディーゼル車の燃料である軽油が安いこと、そして日本と比べて渋滞が圧倒的に少なく、異動時の巡航距離が長いためハイブリッドのメリットに気づきにくいことが上げられる。

ちなみにBMWなどのヨーロッパメーカーもハイブリッドをラインナップに追加してきていますが、それはハイブリッドのほうがマッチするマーケットで必要だから。日本にディーゼル車を持ち込んでも維持コストは下げられても燃料消費率は下げられずエコじゃないって事で。

そもそもハイブリッド車を作るのはガソリン車と比べてエコかどうかって議論と、そもそも車に乗ることがエコじゃないって話があるけど軽くスルーしておきます。あと、ハイブリッド車と電気自動車は停止時などの運動エネルギーを回生して使うので運動エネルギー的には理に適った機能。

槍玉に挙げられている日産リーフも、ブレーキはガンガン踏んで加速はゆっくりすることでずいぶん航続距離は伸びるはず。でも満充電で最短78キロしか走らないのであれば、セカンドカーですなぁ。我が家のボロシビックは高速で燃費走行心がければ無給油500キロ走るし。

とまぁ、プロなんだからこれぐらいの情報も踏まえた上で記事をつくって欲しいものです。本職は作家/経済ジャーナリストということですが、技術ベースで記事を書く時には本職の意見をきちんと聞いたほうが良いですよ、と。作家としての創作はそちらでお願いします。。。

そんな感じで。