pc4beginnerの日記 はてなブログ版

はてなダイアリーで書いていたブログの移行です。

「コクリコ坂から」を見てきた

面白かった。
おそらく少女漫画を読んで涙を流せる人は、じーんと感じるものがあると思います。
そうでない人は、映像のすばらしさに感じるものがなければなんてこと無い映画かもしれません。


今日はそんな感じで。


・・・これだけだとtwitterで呟けという話になるので、もう少し。
以下、ネタバレ含む内容です。全く見たくないという方はここまでで。













さて。


主人公の女の子、海は母親は海外にいて長期不在、父親は死別、妹と弟がいて家庭を切り盛りしている典型的な「苦労人」タイプのキャラクターです。ついで?に下宿まで切り盛りしていて、とにかくタフ。


もう一人の主人公である男の子、俊はさっぱりとした感じの割と誰にでも好感を持たれる好青年です。こちらも家庭の事情で色々悩みを抱えているお年頃です。


そんな二人が、クラブハウスの存亡というイベントで仲良くなる。ただそれだけの話です。恋に落ちるためのいろんな仕掛けもありますが、王道的な「フラグ」が多く良く言えば安心、悪く言えばありたきりな話の進行でしょう。私はこれだけでも十分楽しめる人間でした。


しかし本当にすごいのは時代の設定と、それを丹念に描く描写。オリンピック前という「戦後」が完全に切り離されるギリギリのタイミングで、日本がこれを機に失っていく風景がものすごく緻密に描かれているのです。オート三輪や未舗装の道路、木造の建物、そして横浜だからこそ描ける船の数々。氷川丸もそこにいます。40年前、私が産まれるほんの少し前まであった風景が話にとても自然に組み込まれている。何度も唸りました。


そして「アナログ」な人達。スタジオジブリは作画をアナログな手法に頼る、日本の「ディズニー映画」だったりします(あちらはCGも取り入れていますが)。アナログな人物が、アナログな絵で、アナログなアニメ手法で生き生きと動く。他のスタジオジブリの作品にも共通する魅力ではありますが、冒険活劇ではなくこのような恋愛の物語でも魅力になるのだと気づかされました。いえ、むしろこちらのほうがより力を発揮するのではないかと。


付け加えれば、舞台に何度も登場する坂がいろんな意味を持っているような気がします。これは震災を受けた場所にも通じる、日本の海沿いの街の特徴でもあります。そこでたくましく生きる大人や子供達。津波の被害を受けた場所で無料公開もされたようですが、同じ時代を生きた人達には何か通じるものがあったのではないでしょうか。

この坂を舞台にしたアクションも組み込まれています。冒険活劇はありませんが、アクションの爽快感はこれで十分感じることが出来ました。


実際の所、見終わった後に特に大きな満足感を感じることのない映画です。しかし、後でじんわりとやってくる何かを感じられる心を持つ人なら長く楽しめる。そんな物語ではないでしょうか。


今回は日テレのプッシュが静かに感じますし、嫁さんの反応も薄いものでした。しかし見終わった後の「何か」を長く感じられる、良い映画だったと思います。


今度こそ、本当に今日はそんな感じで。