pc4beginnerの日記 はてなブログ版

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SIer企業のブラック体質を生み出す原因。

昨日こんなエントリを読んだのと、ふと仕事で感じることがあったので。


終わるSIerの底辺を見てきた - ミッションたぶんPossible


このエントリを書く発端となったのはこれが最大の原因だと思います。

 ところが、実際参画してみると話が全然違う。そもそも前提にあった工数が貰えない。契約時点で半分近くまで減らされました。実際に開発が始まって作業量を検証すると、明らかに営業が持ってきた話よりも倍以上あったんです。しかも営業は殆どを口約束だけで進めており、途中の作業量に関するやり取りのエビデンスが全く残ってない。

しかし、さらなる原因があるわけです。

元請は作業量が多くなることはなんとなく分かってたようなんですが、あえてそれを隠していた様子。契約が結んである以上、元請も超強気、「こちらはそんなこと聞いてない」「契約した以上はやってもらう」とばかりに突っぱねます。

私が仕事で感じたのはこちら側の部分です。体感したのはこんな悪質なものではないのですが、本質は似たようなものです。


それは、SIerシステムインテグレーター)を会社の一部門として考えている、ということ。


ここで話を少し脱線して、正社員についての話をします。


業務委託をしている人(つまり派遣や契約社員と呼ばれる人、もしくはその集団、請負等)からみれば「ブラック企業認定、アウト」的な作業を正社員はこなしていたりします。そこには「正社員であり続ける」という動機づけ(インセンティブ)があります。それは法律で守られ、簡単にはクビにならない、という不況時には魅力的なものです。


それもあり、会社側も元を取ろうと業務をせっせと斡旋します。それは当たり前ですが、問題と感じるのはその業務を斡旋するにあたっての調整です。特に会社を動かす部署の人たちは、納期と作業量(ボリューム)を時として無視した業務を行っています。確かに無視した方が会社を動かす視点では良さそうに見える場合もありますが、基本的にはそこは仕組みを変えるべきだろう、というものが多いと経験上感じています。それこそ経営管理(マネージメント)とよばれるものだろう、と。


ここでSIerの話に戻りましょう。SIerが行うSI業務を行える人間、もしくは組織を日本では社内に抱えていることはまずありません。情報システム部や総務部、社長室という組織は一部の例外を除いてSIerへの窓口でしかありません。つまり、SIerという外部の人間にお任せしている形になります。


そしてSIerが取り扱うのは社内でも秘匿とする情報です。先に取り上げた会社を動かしている部署の人たちの業務とほぼ一緒です。


ところが、納期と作業量の調整は同じように行われます。外部の人間に対しても雇用維持という動機付けが働く正社員と同じような仕事の斡旋を行います。しかし外部の人間はどんなに身を粉にして働いても、契約更改でサヨウナラが可能です。契約の延長を勝ち取るという動機付けはありますが、上記のような自己犠牲を伴ってまで働く動機付けには(組織としてはともかく、個人としては)働きにくい。


そこで本来は納期と作業量の調整が行われるはずなのですが、引用エントリにもあるように営業的な問題もあり、なかなか調整は行われません。その結果としてSIerブラック企業に変貌しやすくなるのではないかと思います。


で、その問題の根っこには、ユーザーから見てSIerは「会社の一部門」的な視点が含まれていると感じてしまったのです。それがあるために仕事に対する動機付けが全く違う人間に対して、同じように振る舞ってしまうのではないだろうかと。


もちろん正社員だから身を粉にして働く、というにはいかがなものかと思います。ただし業務以外のことを全くしない正社員は(異論はあるともいますが)使えませんから判断は難しいところです。でも、会社を動かす仕組みを支える人を外部に委託するのなら、多少なりとも経営管理をした方がメリットはあるのではないかと思います。もう、メリットについては詳しく書きませんが。


今日はそんな雰囲気で。