相手の立場になってものを考えよう。
自転車絡みの嫌な情報があって、twitterでさらっと流そうとしたのだけど、家族の命に関わる問題なのでエントリとしてまとめ、意思表示しておきます。
まず最初に。私は自動車もバイクも自転車も乗ります。歩行者としても結構な距離を日々歩きます。そんなマルチな視点で以下を書きます。自転車擁護でもありません。実際マナーの悪すぎる自転車乗りはたくさんいますから。
あと、運動エネルギーについて。これは重量と速度でエネルギー量が決まります。面倒な方程式はさておき、ぶつかった時、つまり事故の際の衝撃は速度と重量の大小に影響されます。
さて。
自転車は実は危険な乗り物です。成人の場合、重量は漕いでいる人の体重と併せて50キロは下りません。これが時速20キロ程度のスピードで走ります。これで人をひき殺せます。
もう一度言います。これで人をひき殺せます。
だから道交法で歩道は原則走っちゃいけない事になっています。もし歩道を走れる場合にも、歩行者が優先となっています。危ないから。轢き殺せば道交法により自動車と同じように処罰を受けます。だから歩道は基本的に推して歩く事になっています。
バイクはさらに危ないです。重量が原付でも単体でそれぐらいの重量があり、ビッグスクーターや中型以上のバイクは単体で200キロ以上あります(軽いものも一部ありますがここでは除外)。それに人間の体重が加算され、エンジンという人間の脚力とは比べものにならないエネルギー源で動きます。最初に書いたとおり、物理の法則では重くて速い物体の運動エネルギーは大きくなります。ぶつかった時の衝撃は推して知るべしです。簡単に人をひき殺せます。なので道交法で車道という檻に閉じ込められています。
そして自動車は、これらに比べると化け物です。軽自動車でも700キロ程度、フィットやヴィッツ、マーチなどの小型自動車なら1トンぐらいあります。これがバイクと同等の速度で走るのですから、走る凶器という言葉がピッタリです。これ以上は書きません。
これらは全て「車」というものに分類されます。
その車が走るのが「車道」と呼ばれるんですね。
さて。
車道を走らねばならない乗り物で、もっとも弱いものはどれでしょう?
法律は原則として弱者と強者、どちらを保護するようにできているでしょう?
そして、自分が弱い立場だったらどうやって凶器から守ってもらうべきか考えてみましょう。
そんな事を考えながら、以下のリンク先を読むと味わい深すぎて涙が出て来そうになります。
頼むから出来る限り車道を走ろうと頑張ってる嫁さんの周りに、このブログで晒されている馬鹿が増えて欲しくないと切に願います。
上記ブログのリンク先にいちゃもんを付けておくと。
■海船さんのブログ
> よっぽど自転車が走るスペースが確保されている道路じゃない限り、基本的に自転車は歩道を走るべきだと思うんです。
→そんな狭い道で自動車を飛ばさないでください。
多分自転車の速度ぐらいが「制限速度」になってます。
なので追い抜きが出来ないから邪魔にもならないはず。
> 車道を走るメリットって『歩道を走るよりも速いから』だと思う
→メリットですが、そもそも法律で定められているからです。
> そんな自分の時間の都合を安全や車のドライバーの精神的圧力と引き換えにするなって話。
→同じ事が自動車のドライバーに言えます。
というか、この直前で代替手段として電車を出してるので意味が通らなくなってる。
> だから歩行者とぶつからないように安全なスピードで、もしくは事故を起こさないように周囲に注意して運転するんでしょう。
→道交法をよく読みましょう。貴方がブログを書いた時点で法律として明記されています。
→道路交通法の改正について
自転車が歩道を通行することができる場合
これまで道路標識等により通行することができるとされている歩道を通行することができます。
この場合、道路標識等により通行すべき部分が指定されているときはその指定された部分を、指定されていない場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しながら通行しなければなりません。
また、歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければなりません。
守らない人はさておき。
ただし、マナーとして言わんとしたい事は分かります。
それでも臨機応変に動くのは無秩序の元、だと知っておきましょう。
それが出来ない人は世の中にいっぱいいますよ。
■ABCDE湯かげんさんのブログ
> 自動車に乗っていると、車道を走る自転車は明らかに邪魔だし危険。
→逆から見てもそうです。「車」道の意味、分かってますか?
> 30キロで走っている自動車は比較的安全に急停車できる。
> しかし、30キロで走っている自転車が安全に急停車することはかなり難しい。
→多くの場合そうですが、技量次第で逆転します。
あと、物理の法則を無視しちゃいけない。車は制動距離が長いです。
つまり自動車は人をはねる可能性が高いという事。
> だから、基本的には歩行者や自動車や他の自転車が通行している場において速いスピードで自転車を運転することは間違っているということ。
→なんで自動車まで含むのでしょう?
自転車がいるから自動車が減速するのも一つの方法。
相方の主張を借りるのなら自動車専用道路を走れ、ということになります。
あと、自動車は追い越しをしないのでしょうかね。
> 自転車に乗るときのスピードを規制した上で基本的には自転車は歩道を通行するよう道路交通法を改正したほうが良いと俺は思っています。
> 自分の幼い子供には自転車はなるべく歩道で乗るよう教えている親のほうが圧倒的に多いと思います。
→道交法をよく読みましょう。貴方がブログを書いた時点でどちらも実現されています。歩道を走る件については海船さんのブログの引用で書いたので、子供が自転車に乗る事にについて。
次のような場合にも歩道を自転車で通行することができるようになります。
○児童(6歳以上13歳未満)や幼児(6歳未満)が運転する場合
もちろん歩行者を妨げない、が前提条件になります。
この人達の考えで最も怖いなと感じたのは、自分の子供にどんな自転車教育を施すのかという事。自転車は16になるまで、最も手軽で「速い」移動手段になります。結構な確率で乗るでしょう。その時どんな風に教育をするのか。乗るな、では乗る人の気持ちが分からなくて事故に巻き込まれる可能性が出て来ますよ。もしくは親に隠れてこっそり乗り、事故を引き起こすとか。
後、視点が自動車からでしかない事。根底にある言葉が「自動車から見て自転車が邪魔」なんですね。逆から見れば「自転車から見て自動車は邪魔」になりますし、歩行者から見れば「車はみんな邪魔」です。それらを複眼の視点で見てルールを理解しないと、変な運転(歩行)をするわけです。日本は交通ルールの教育が全くされないので仕方ないところですが。
何故ルールが策定されていて、そのルールが策定されてからクルマ(車輪のある乗り物)を含む自動車環境がどのように変わってきたのか知らないから変な意思表示になるのかもしれません。せっかくなのでそれらについて少し勉強すると、日本では何故自動車がここまで優遇されていて、いびつな法律になっているのか理解出来ると思いますよ。その上で法律がおかしいと思うなら変えられるよう努力すればいい。これは民主国家にすむ国民が持つ権利です。
但し。弱者と呼ばれるものも、それを謙虚に受け止めねばならないと思うのです。増長すれば己を守る武器、つまり法律とモラルを失う事になるよ、と。増長する人たちのおかげで、家族が危機に晒されるのにも耐えられません。
例えば以下のtwitterの発言、同一人物のものです。
※元のつぶやきは消しているようです。
※多分、自転車が割り込んできています<逆だったらどうしよう。
何がどうなってこうなったのでしょうね、と。
芸人の愚痴エントリに絡むのもどうかと思ったのですが(生き様もネタですから)、確実に言えるのは自動車は自転車に謙虚過ぎるぐらいで丁度良いのです。嫌なら電車に乗ってください。よろしくお願いします。
今日はそんな感じで。