pc4beginnerの日記 はてなブログ版

はてなダイアリーで書いていたブログの移行です。

SIerという仕事は、長期で見れば無くなる仕事だと思ってる。

と、SIerの現場にいる誰もが薄々感じてると思ってるんだけどなぁ。

いったい何がSIで、何が雑用なのかわからなくなってるもの。

もし、と仮定しておくけど、金を生み出す源泉が雑用で、SIで儲かってなかったら一体どうなるの?って話。←仮定ですよ、仮定。

以下、ずいぶん書いたけどやっぱり割愛。





↑ちょっとこれだけだと酷いので、ひとつたとえ話をしときます。





むかしむかし、とあるところに「カミキリ」という、髪を切って整えることを生業とする職業がありました。この職業は長い時間かけて勉強し、「カミキリ」と呼ばれる職人達が従事できる、国家免許の必要な仕事でした。

カミキリになるには長い時間かけて修行が必要で、独立しても長時間労働と継続した勉強が求められます。端から見ると儲かっているように見えますが、その裏では人知れぬ努力と時間という貴重なコストを浪費しています。それでもほとんどのカミキリは

 「さっぱりしたよ」
 「ありがとう」

と対価だけでなく、感謝の言葉をもらえる事に誇りを持って仕事をしていました。弟子と一緒になって勉強し、技術を磨くことも忘れません。このように人知れぬ努力が必要な仕事ではありましたが、誰もが地道に修行すれば稼ぐことが出来る良い職業でした。

ところが一部のカミキリはより多く、より楽に儲けようと考え、会社化を始めます。

このカミキリ達は髪を切る仕事なのにハサミも櫛も持たず、会社を大きくする事だけを考えるようになります。いわゆる営業というお仕事です。彼らはカミキリの仕事を出来る限り分解し、簡素化していきました。併せて道具を進化させることで、一部の技術は素人に毛の生えた程度でも出来るようにしました。技術に差が出る部分は「俺たちの会社のカミキリは凄い!」と広告を打つことで付加価値を生み出そうとします。結果、会社でのカミキリの価格は高騰しますが、会社の中にいるカミキリの給料は据え置きのままでした。

営業となったカミキリは、さらにあの手この手で会社を大きくしていきます。すると真面目に働いていたカミキリ達も「俺たちだって稼ぎたい」と、この会社のやり方に追従を始めます。同様の付加価値を自分たちの仕事に反映し、より高い価格を設定するようになります。

また、修行の形態も変わりました。以前はカミキリになるためにはカミキリに弟子入りして修行していましたが、ほとんどの者は弟子入りではなく、会社に「就職」するようになります。
いつしか独立系のカミキリの仕事は再生産が主となり、勉強にかけるコストは減っていきました。目に見えにくい技術は磨かれることが無くなり、差が出る部分は既に身につけた技術を食いつぶすことで生き長らえるようになります。弟子も取らなくなり、勉強に割く時間はより減っていきました。結果、カミキリは本当に「稼げる」仕事へと生まれ変わっていきました。

しかし進化した道具は、いつしかカミキリにしか出来ないことを素人でも可能とするようになりました。もちろん素人が使う場合にはカミキリの仕事とは雲泥の差がうまれるため、カミキリ達は気にすることなく生活を続けます。


しかしある日突然、それが覆されてしまいました。


会社で安い給料で働いていた技術力の低いカミキリ達が、進化した道具を使って安価にカミキリを提供し始めたのです。この段階では安価なカミキリの技術力はそれほどではなく、大きくなった会社や独立しているカミキリ達は「影響はない」と思っていたようです。
しかし技術は使い続けることで磨かれていきます。いつしか安価なカミキリは高いカミキリとの技術の差を埋めていき、次第に高いカミキリの座を脅かしはじめます。薄利多売ではありますが収入も良く、安価なカミキリは次第に増えていきました。
すると今度は、会社で社員として働くカミキリ達が、安価にカミキリを提供するために辞めていく事態に直面します。安価なカミキリの方がより楽に、もっと稼げるからです。この結果、会社に働き盛りのカミキリが少なくなり、いつしか会社の技術力が落ちていく事態に直面するようになりました。

こうしてカミキリは安価なものへと認識が変わっていき、それに伴い従来からの高価なカミキリ達の生活は苦しくなっていきました。
ところが、しばらくすると安価なカミキリ達の生活にも異変が生じました。薄利ではありましたが客数が多いため収入が良かったのですが、安価なカミキリが増えすぎたために客数が少なくなり、苦しくなり始めたのです。これを打開するためにさらに価格を下げるカミキリが出てきました。その結果、より多くの客を取らなければならない。こんなデフレが安いカミキリ達の間で起こり始めます。

こんな中、安定した生活を送るカミキリ達もいました。従来のカミキリの一部は無理をせず、地道に稼ぎ、差別化を図るためにカミキリだけではなく「サービス」を提供していたのです。確かに売り上げの減少には直面しましたが、それを見込んで無理な投資もしなかったため苦しむまでには至りません。
そして自分が修行してきたように、少ないながらも弟子を取り、修行をさせ、一緒に磨いた技術とサービスにお客は信頼し、高い価格を満足して払ってくれ続けました。

こうして「誰もが稼げた」カミキリは、より稼ごうとした「会社」やそれに対抗した「安価」なカミキリと共に衰退し、一部でサービスという「武器」で進化したカミキリだけが生き残っていける職業になりましたとさ。


おしまい。


なお、このたとえ話は何かの職業に似ているかもしれませんが完全にフィクションですし、IT業界になんら関係がない話だと思います。書いてみたかっただけ、と言うことで。